【ネタバレ】プロジェクト・ヘイル・メアリーのあらすじ・感想|初心者におすすめのSF小説

本・マンガのおトク情報
本をおトクに読みたい方は、Amazonの「Kindle Unlimited」という本読み放題サービスがおすすめです。
1ヶ月無料なので、まずはお試しで使ってみてください。(「陸王」など名作もあります)
角川作品をよく読むならBOOK☆WALKER」の本読み放題サービスがおすすめです!
角川文庫が全て読み放題なので、ぜひチェックしてみてください!

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とは

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とは、著者のアンディ ウィアーが書いた、記憶喪失の主人公が目覚めるところからスタートするSF小説です。
2026年に映画化され、主人公役は「ラ・ラ・ランド」などにも出演しているライアン・ゴズリングが演じております。(非常にいい役者さんで個人的に好きです)

今回は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」をご紹介いたします。


※こちらの記事はネタバレをたくさん含みます。本作はネタバレや情報を一切なしで読むことをおすすめいたします。読んでからこの記事を読んでね!




「プロジェクト・ヘイル・メアリー」のあらすじと登場人物

あらすじ

グレースは、真っ白い奇妙な部屋で、たった一人で目を覚ました。ロボットアームに看護されながらずいぶん長く寝ていたようで、自分の名前も思い出せなかったが、推測するに、どうやらここは地球ではないらしい……。

断片的によみがえる記憶と科学知識から、彼は少しずつ真実を導き出す。ここは宇宙船〈ヘイル・メアリー〉号――。

ペトロヴァ問題と呼ばれる災禍によって、太陽エネルギーが指数関数的に減少、存亡の危機に瀕した人類は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を発動。遠く宇宙に向けて最後の希望となる恒星間宇宙船を放った……。

『火星の人』で火星の、『アルテミス』で月での絶望的状況でのサバイバルをリアルに描いた著者が、人類滅亡の危機に立ち向かう男を描いた極限のエンターテインメント。

主人公のグレースは自分の名前もわからない状態で白い部屋の一室で眼を覚ますシーンからスタートします。

体が仮死状態で復活するのに時間を要す中で、部屋の周りや隣にある死体などに驚きながら断片的に記憶を取り戻していきます。
なぜか自分が宇宙船にいるという事実を。

そして、自分が宇宙船にいるきっかけが、とある地球外生物によって人類が滅亡する危機に陥っており、その危機を救うためにいるということを思い出していきます。

食料や燃料、調査する機材も限られているサバイバル的な状況の中で、グレースはとある宇宙船を発見します。

果たしてその宇宙船は人間は乗っているのでしょうか?
またグレースは人類の危機を救えるのでしょうか?

登場人物

ライランド・グレース:主人公。科学の教師。かつては分子生物学者

エヴァ・ストラット:ペトロヴァ対策委員会の一番偉い人

ロッキー:???

アストロファージ:???




「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の感想(超ネタバレあり)

まーーーなんとも面白い小説でした!
SF小説はなかなか苦手だったのですが、SF読んだことない方にもめっちゃおすすめできる冒険SF小説です。

今まで読んだきたことがないくらい怒涛の展開が巻き起こっていて、最後の最後まで読む手が止まらないこと間違いなしです!

以下ネタバレありで感想を語っていきたいと思います。

アストロファージというすごい生物

今回の作品で一番面白かった謎の生物、アストロファージ。
太陽の表面に生息しており、太陽の出力エネルギーを”食べている”というおよそ人間が予想だにしない生物でした。

アストロファージによって太陽のエネルギーが喰われてしまう、そして急速にアストロファージが増えている状態なので、このままだと地球に届く太陽光が少なくっていき、地球の平均温度が下がることで全ての生態系が崩れていくという状況でした。
残り30年、いやもっと早いスピードで人類が滅亡されるかもしれないと危機感を感じてペトロヴァ対策委員会という各国の研究者たち総出で研究に乗り出しました。

主人公のグレースもその一人なんですが、あまりにも優秀すぎて次々とアストロファージについての新事実を発見してしまうので、そこだけご都合主義っぽかったですが、面白かったです。
さらなる詳細は省略しますが、物語の後半でアストロファージを喰う生物をグレースが発見したときはすごく興奮しました。
絶望の中で唯一の光明が見えたのはよかったです。

しかし現実にもそういった生物はあるのでしょうか。
個人的な認識だと、太陽で生きていられる生物なんて存在しないと思いますが、宇宙には謎がたくさんあると思うので、あってもおかしくないのかな〜とちょっと妄想しました。ロマンありますね。

ロッキーとの出会い

その次に面白かったのが、やはり異世界人、ロッキーです。
後々グレースと同じ状況になっていた生物と知るのですが、初めての異世界人との出会う場面はとっても面白かったです。
他のコンテンツで出ているような典型的な宇宙人の形態をしてなさそうなのが、一番よかったです。

人間と同じように感情、知恵、時間などの概念があり、かつ食事など(グロテスクそうですが)が起こりうるため、紛れもなく生物でした。
最初に出会った時、言語というものが通じず、グレースがかなり知恵しぼって異世界人と言葉を交わすのがリアリティがあってよかったです。

その後グレースとロッキーで協力してアストロファージの対抗策を考えるところはタッグ小説として、とても読み応えがありました。
特に最後のあたりでアストロファージの敵を増殖させる策が破綻していて、それを伝えるためだけにロッキーの船に戻ったことが胸熱でした。

自分はもう生き残れないと覚悟を決めて、友人(ロッキー)の元に助けにいくなんて普通の人にできないと思います。
しかも途中で自分が強制的に宇宙船に乗せられたことも思い出したのにもかかわらずです。

そういったヒューマンドラマの一面を持っていたところが、人気が出た理由の一つなのかもしれません。

ちなみに個人的には、宇宙の星の一つに人間が存在するなら他の生物も存在するだろうと勝手に思ってますが、やっぱいるのかなあと妄想が捗りました。ロマンありますね!(2回目)

怒涛の展開と最終章のタイトル

上巻では、グレースが記憶を思い出すシーンからロッキーに会ってタッグを組むまでの話でしたが、下巻からは怒涛の展開を迎えるのでさらに楽しかったです。

上記でも書いていますが、グレースが宇宙船に乗った経緯(エヴァには激おこです)やアストロファージを喰う存在を見つけ、それをゲットするためにロッキーと危ない冒険をしたこと。

そして最後の最後でグレースが地球に戻らないことを決意して、ロッキーの元に戻ったことなど、全ての展開がとてもよかったです。

最後の章でロッキーの用語でタイトル「∀ℓ章」と書かれていましたが、おそらく50章と書いてあると思います。
それは主人公がロッキーの故郷である星で暮らしている証拠として用いています。おしゃれですね。

無事に星についてからは紆余曲折ありつつ53歳になって、自分の肉を食べて生きながらえている、という着地でしたが読んだ時は非常に驚きました。
最悪死ぬか地球に戻るかだと思ったのですが、まさかロッキーの故郷で暮らしてるなんて、底知れぬ主人公の生命力です。

一番よかったのは元々グレースが教師だったのが、ロッキーの星でも教師として子供たちに教えているシーンがとても印象的でした。
おそらくグレースが一番やりたかったことなんじゃないかと思うのですが、こういった結末がとても粋でしたので、最後まで素晴らしかったです。

プロジェクト・ヘイル・メアリーの面白さ

改めてこの作品のいいところは、読者を置いてきぼりにしない、飽きさせない工夫が随所に詰まっているのが素晴らしいです!

最初は記憶がない主人公が少しずつ記憶を思い出していくターンでしたが、そのあとも現在→過去といった感じで視点を切り替えていき、現在で見つけたヒントによって過去の重要なことを思い出すといった構造です。
内容も説明的ではなく、少しずつ小出しで主人公と一緒に読者も重要なヒントを与えられ、主人公と同じ感覚を体験できるところが面白いところです。

特によかったのが、一番の謎である主人公がヘイル・メアリー号に乗った理由を最後まで引っ張り、ちょうどいい場面で理由を聞かされるところが秀逸でした。

ところどころ専門用語があって難しいところもありましたが、通常のSF小説と比べて専門用語は少ないほうですし、用語がわからなくても展開がわかるようにしているのが本書の良さだなあと思いました。

映画化されたら絶対見たいと思います。ライアン・ゴズリングだし、予告動画も見ましたが期待大です!




まとめ

SF小説の導入作品としてもいいなーと思ったので、ぜひ興味ある方はぜひ読んでみてください!

この作品は基本主人公がでずっぱりなので、映画だと結構演技力試されそうな感じがします。
果たしてどんな感じになるのか、そちらも楽しみです!