
日本ミステリーの名作シリーズ「館シリーズ」を紹介するよ!「十角館の殺人」だけでも読んでほしいな。
館シリーズ(綾辻行人)とは
「館シリーズ」とは、綾辻行人による名探偵・島田潔のミステリー小説シリーズです。
ミステリー好きには堪らない、叙述トリックが使われていて、最後には思いもよらぬ結末になる作品が多いシリーズです。
主人公は毎回違っていて、名探偵の島田潔はひっそりと出てくるような感じです。
犯罪が起こる数々の館は、とても奇妙な作りをしており、そこで一体どんなトリックが使われるのかが見どころでもあります。
今回は館シリーズについてご紹介いたします。
館シリーズの読む順番は?(完結済み)

このシリーズはエラリー・クイーンの「国名シリーズ」になぞらえて、9作目で完結してるよ!遊びがあって面白いね!
このシリーズは、順番に読むことをおすすめします。事件自体は1巻ずつ完結しているんですが、徐々に探偵の島田や建築家の中村についての情報がわかるので、出版順がおすすめです。
No. | タイトル | 出版年 |
---|---|---|
1 | 十角館の殺人 | 1987 |
2 | 水車館の殺人 | 1988 |
3 | 迷路館の殺人 | 1988 |
4 | 人形館の殺人 | 1989 |
5 | 時計館の殺人(上) | 1991 |
5 | 時計館の殺人(下) | 1991 |
6 | 黒猫館の殺人 | 1992 |
7 | 暗黒館の殺人(一) | 2004 |
7 | 暗黒館の殺人(二) | 2004 |
7 | 暗黒館の殺人(三) | 2004 |
7 | 暗黒館の殺人(四) | 2004 |
8 | びっくり館の殺人 | 2006 |
9 | 奇面館の殺人(上) | 2012 |
9 | 奇面館の殺人(下) | 2012 |
先ほども紹介しましたが、著者の綾辻先生は大のエラリークイーン好きです。
私もファンなんですが、もしご興味あれば以下でご紹介しているので読んでみてください!
綾辻先生の他作品について
その他にも色々な面白いシリーズも出版されています。あわせてチェックしてみてください!
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館シリーズのおすすめランキング5(初めての方へ)
ミステリ好きの私が、このシリーズの中で特に素晴らしかった巻を5作品ご紹介します。
全部面白いのは間違いないのですが、初めての方への紹介として、あえて選びました。
1位 十角館の殺人(1巻)
もちろん、1位はシリーズ1巻目の作品です。
これぞミステリーというような物語の設定、構成、伏線も全て綺麗にまとめられていて非常に面白いです。
7人の学生は、十角館という館を訪れます。
そこで、なぜか学生が一人ずつ襲われる事件が起こります。
まさに鬼気迫る展開になっていくのですが、まるでアガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」の日本版のような作品です。
個人的に、話を「島」と「本土」で視点を分けたのが、読者の恐怖を促すのに良いスパイスでした。
ミステリー小説が始めての方でも、大変楽しめる作品です。
余談ですが、登場する7人のニックネームは、全て名だたる名探偵の名前から来ています。そういった遊びも面白いのでぜひ。
あらすじ
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。
館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。
やがて学生たちを襲う連続殺人。
ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
2位 迷路館の殺人(3巻)
迷路館というだけあって、家の中が迷路のような構造をしている建築物。
もう迷路なんだから、事件が起こっても絶対犯人のほうが有利、と安易に考えていましたが、そこは綾辻さん。一筋縄ではいかない仕掛けをいくつも入れていて面白いです。
最後の最後で、読者はぎゃふん!と言わされること間違いなしの巻です。
あらすじ
奇怪な迷路の館に集合した四人の作家が、館を舞台にした推理小説の競作を始めたとたん、惨劇が現実に起きた。
完全な密室と化した地下の館で発生する連続殺人の不可解さと恐怖。
逆転また逆転のスリルを味わった末に読者が到達する驚愕の結末は?
気鋭が異色の構成で挑む野心的な長編本格ミステリー。
3位 人形館の殺人(4巻)
今作は、著者の綾辻さん曰く、異色作何だそうです。
主人公は飛龍想一という男性で、彼の一人称で物語は進みます。
今までと違って、雰囲気が暗く、さながら島田荘司さんの「眩暈」と雰囲気が似てます。
読み終わった後の私の感想は、「いやいやめっちゃ面白いやん!」です。
物語の展開や雰囲気作りが非常にお上手で、何処か暗い路地裏に迷い込んだかのような感じがしました。
また、作中の中で「占星術殺人事件」に登場する梅沢家事件が出ます。合わせて読むとより楽しめるので要チェック!
余談ですが、人形館が現実に存在していたら、自分は絶対行きたくありません。怖すぎる・・・
あらすじ
父が飛龍想一に遺した京都の屋敷――顔のないマネキン人形が邸内各所に佇(たたず)む「人形館」。
街では残忍な通り魔殺人が続発し、想一自身にも姿なき脅迫者の影が迫る。
彼は旧友・島田潔に助けを求めるが、破局への秒読み(カウントダウン)はすでに始まっていた!?
4位 奇面館の殺人(9巻)
誰の素顔もわからない、という面白い状況で殺人事件が起こります。
綾辻さんは雰囲気作りが非常にお上手で、この作品もとても不穏でゾクゾクします。堪らない。
最後までゾクゾクさせておいて、すっきりとした読了感が得られる作品です。
あらすじ
季節外れの吹雪で孤立した館、奇面館。
主人影山逸史に招かれた六人の客はそれぞれの仮面を被らされた。
前代未聞の異様な状況下で、事件は進展する。主人の〈奇面の間〉に転がっていたのは、頭部と両手の指を切り落とされた凄惨な死体。
六人の仮面には鍵がかけられていた。名探偵・鹿谷門実の圧巻の推理が始まる!
5位 暗黒館の殺人(7巻)
この作品は、1〜4巻まであるのでめちゃくちゃ長いです!ですが面白い。
登場人物も多いし、暗黒館がとても広いので地図を見ながら、今ここは何処だろうと確認しながら読むことをおすすめします。
実はこの巻では、遂に数々の建築物を作った中村青司についても語られます。
シリーズを読む方は、ぜひこの巻までご一読することをおすすめします。
あらすじ
蒼白い霧の峠を越えると、湖上の小島に建つ漆黒の館に辿り着く。
忌まわしき影に包まれた浦登(うらど)家の人々が住まう「暗黒館」。
当主の息子・玄児に招かれた大学生・中也は、数々の謎めいた出来事に遭遇する。
十角塔からの墜落者、座敷牢、美しい異形の双子、そして奇怪な宴……。
館シリーズの登場人物
名探偵の島田潔
彼は、30代後半の素人探偵です。
実家はお寺で、三男坊にあたります。
後々小説家になるんですが、それまでは寺を手伝っていました。
元々、伝説の建築家、中村青司が建てた奇妙な館の数々を追っていたのですが、その行く先々で何故か殺人事件が起こり謎を解きます。
ミステリー好きなら気づいたかもしれませんが、彼の名前はミステリー作家の島田荘司さんの「島田」と、彼の著作で名探偵の御手洗潔の「潔」から由来しています。
余談ですが、「御手洗潔シリーズ」も名作ぞろいですので、ぜひこちらもご覧ください。
建築家の中村青司
故人です。
彼の建築物は、迷路や十角形の建物など、奇妙なものばかりです。
恐らく現代ですと、建築の法律で引っかかるであろう構造をしてる建物を数々生み出しています。迷路館とか。
伝説の建築家と呼ばれていますが、殺人事件は必ず彼の建築物で起こることから伝説と呼ばれてるのではないかと、個人的には予想しています。
まとめ
館シリーズは日本ミステリー作品の中でも「新本格派」に位置します。
綾辻さんもよくツイッターなどに呟いてますが、クイーンやカーなどの推理作家が大好きで、彼らのやり方を参考したことが作品内で所々見受けられます。
まだ読んでない方はぜひ一度読んでみてくださいね。