毒を食らわば(ドロシー・L・セイヤーズ)のあらすじと感想|ピーター卿、留置所でプロポーズする

毒を食らわば(ドロシー・L・セイヤーズ)のあらすじと感想|ピーター卿、留置所でプロポーズする

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「毒を食らわば(ドロシー・L・セイヤーズ)」とは

「毒を食らわば」とは著者のドロシー・L・セイヤーズが1930年に出版した、ピーター卿シリーズの5巻目です。
この巻はピーター卿が恋に落ちる有名な巻なんですが、恋に狂う姿が見れて中々面白い巻となっています。

今回はこちらの作品の感想を語っていきます!

ピーター卿シリーズについて

ピーター卿シリーズの読む順番については、以下でご紹介しています。ご興味ある方はぜひご覧ください!


ピーター卿シリーズ(ドロシー・L・セイヤーズ)の読む順番をご紹介!
ピーター卿シリーズ(ドロシー・L・セイヤーズ)の読む順番一覧|貴族探偵の華麗なる謎解き




「毒を食らわば」のあらすじと登場人物

あらすじ
裁判官による説示。被告人ハリエット・ヴェインは恋人の態度に激昂、袂を分かった。

最後の会見も不調に終わったが、直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われ、帰らぬ人となる。
医師の見立ては急性胃炎。だが解剖の結果、遺体からは砒素が検出された。

被告人は偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴されるに至る……。ピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がる第五弾。

物語はとある殺人事件の裁判のシーンから始まります。

被告人は小説家のハリエットで、元恋人のフィリップを砒素で毒殺したとして殺人の容疑で起訴されました。
例のごとく、ピーター卿がこの事件の犯人は別にいると疑い始め、ハリエットを無罪にすべく事件を調べ始めます。

これが間の悪いことに、被告人ハリエットは砒素を小説の資料用に購入されていて、証拠と動機から有罪は免れない状況になります。
現実世界であればここから覆すのが難しいはずですが、果たしてピーター卿は彼女を救えるのでしょうか?

登場人物

ピーター・ウィムジイ卿:貴族探偵

マーヴィン・バンター:ピーター卿の従僕

チャールズ・パーカー:スコットランド・ヤードの警部

サー・インピィ・ビッグズ:勅撰弁護士

キャサリン・クリンプスン:ピーター卿の聞き込み代理人

ジョーン・マーチスン:クリンプスン嬢の部下

ハリエット・ヴェイン:探偵小説家

チャロナー:その文芸代理人

フィリップ・ボーイズ:作家

アーサー・ボーイズ:その父、牧師

ノーマン・アーカート:フィリップの従兄。事務弁護士

ハンナ・ウェストロック:アーカート家の客間女中

ペティキャン夫人:同じく料理番

ライランド・ヴォーン:フィリップの友人

ロザンナ・レイバーン:元女優

キャロライン・ブース:その看護婦

マージョリィ・フェルプス:ピーター卿の友人。彫刻家




「毒を食らわば」の感想(ネタバレあり)

最後までハウダニットが分からず、中々面白い作品でした。今作は、かなり思い切った作品と見受けられました。
なにしろ冒頭から、被告人の無罪を証明しなきゃいけない展開だった上に、別の容疑者を見つけなきゃいけないのがかなり無理な状況に近かったので、どう展開してするかが見ものでした。

特に面白かったところは、

・ピーター卿が拘置所でプロポーズするところ
・犯行のしかた
・クリンプスン嬢たちの冒険

ピーター卿が恋に落ちる

びっくり仰天なことに、ピーター卿は面会していたハリエットに対して結婚を申し込みます。

このシーンがめちゃくちゃツッコミどころ満載で一番笑ったシーンでもあります。
ピーター卿は恐らく一目惚れか、ハリエットの聡明なところに惹かれたのだと思いますが、思いっきり断られていて更に笑いました。
ハリエットからすると、もうすぐ有罪判決が出るのが怖すぎて今のことしか考えられないのに、いきなり見ず知らずの男性からプロポーズされても困るほかありません。

プレイボーイのようにみえて恋に不器用なのか、どう考えてもタイミングが悪すぎて面白かったです。

結局、最終的にハリエットが無罪になった後は会いに行かなかったみたいですが、果たして今後は二人の関係が変わっていくのか、とても楽しみです。

ハウダニットに焦点を置いた作品

今回はフーダニットでもありますが、どちらかというとハウダニットが取り上げられた作品でした。

そもそもハリエットが容疑者となったのは、彼女が小説の資料として、事件日以前より砒素を購入していたからです。
また、被害者とも口論などで揉めていた関係だったため、状況証拠も固まって、検察側からするとほとんど決まりといって問題ない状況でした。

しかしピーター卿は事件を周辺人物を調査していくうちに資産目当ての犯行ではないかと疑うようになりました。
動機から調べていったのですが、犯人が分かったとしても犯行がわからない状況でした。

そもそも被害者のフィリップは、知り合いの家で夕飯を一緒に食べてからハリエットの家に行ってコーヒーを飲み、帰りのタクシーで気分が悪くなった、という流れです。

一体どこで毒を盛られたのでしょうか?
最後にピーター卿が謎解きをするのですが、犯行方法はかなり面白かったです。
今でこそいろんなトリックに使われていますが、当時だったら奇想天外に思う人が多かっただろうなーと想像できます。

でも鋭い読者でしたら、一発でわかってしまうのではないかなと思ったトリックでもありました。詳しくは読んでみてくださいね。

クリンプスン嬢たちの大活躍

今回の事件で一番の功労者はピーター卿のアシスタントである彼女たちです!

犯人がいる場所に忍び込んだり、とある屋敷に忍び込んだり、グレーなことをやってますが読んでいて冷や冷やしました。でも面白かった!
途中でピーター卿がやればいいのに、などと思いましたが、彼女たちでないとできないことだったので、とても良かったです。

明智小五郎の助手小林くんみたいに毎回登場してくれると面白いですね。




まとめ

今作もなかなかに面白かったので満足です!
でもピーター卿が動かなすぎて、ちょっと寂しさがあります。ホームズはぐいぐい動くキャラクターですが、ピーター卿は半分だけ安楽椅子探偵みがあるので、アクティブな探偵が好きな方には合わないなと改めて思いました。(もしかしたら著者が動かしにくいのかもしれませんが)

また、今作はパーカーがついにピーター卿の妹と結婚します。
個人的に好きなキャラだったのですっごく良かったです。ピーター卿もハリエットと結婚できるといいなと思います。次巻に期待!