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死体をどうぞ(ドロシー・L・セイヤーズ)のあらすじと感想|ピーター卿シリーズ7巻目

死体をどうぞ(ドロシー・L・セイヤーズ)のあらすじと感想|ピーター卿シリーズ7巻目

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死体をどうぞ(ドロシー・L・セイヤーズ)とは

「死体をどうぞ」とは著者のドロシー・L・セイヤーズが1932年に出版した、ピーター卿シリーズの7巻目です。

今回は「死体をどうぞ」について感想を語っていきます。

ピーター卿シリーズについて

ピーター卿シリーズの読む順番については、以下でご紹介しています。


ピーター卿シリーズ(ドロシー・L・セイヤーズ)の読む順番をご紹介!
ピーター卿シリーズ(ドロシー・L・セイヤーズ)の読む順番一覧|貴族探偵の華麗なる謎解き




「死体をどうぞ」のあらすじと登場人物

あらすじ
砂浜にそびえる岩の上で探偵作家ハリエット・ヴェインが見つけた男は、無惨に喉を掻き切られていた。手元にはひと振りの剃刀。

見渡す限り、浜には一筋の足跡しか残されていない。やがて潮は満ち、死体は流されるが……?

さしものピーター卿も途方に暮れる難事件。幾重もの謎が周到に仕組まれた雄編にして、遊戯精神も旺盛な第七長編!

今回は、ミステリー小説家のハリエットが死体の第一発見者になってしまう事件です。

ハリエットといえば、初登場は「毒をくらわば」で事件の容疑者になってしまうのですが、ピーター卿が彼女の無実を証明して事なきを得た経緯があります。しかし、またも事件に巻き込まれるとは天性のヒロイン味がありますね。

物語はハリエットが海岸でピクニックしてた時です。そこで首を切られて血だらけの遺体を見つけてしまいました。
急いで警察を呼ぼうとするのですが周りにはほとんど民家もなく、やっと警察に連絡できたと思ったら遺体が無くなってしまいました。

遺体はどこへ?そしてハリエットは本当に遺体を見たのでしょうか?

今回の事件は謎解きまでかなり長いので、腰をすえて読むことをおすすめします。

登場人物

ピーター・ウィムジイ卿:貴族探偵
マーヴィン・バンター:ピーターの従僕

ハリエット・ヴェイン:探偵小説家

パーキンズ:ロンドンから来た紳士

ポール・アレクシス:ロシア人ダンサー
フローラ・ウェルドン:その婚約者
ヘンリー・ウェルドン:フローラの息子

ライラ・ガーランド:アレクシスの元恋人

レフランク夫人:アレクシスの下宿の大家

アントワーヌ:ダンサー

エンディコット:引退した床屋

メリウェザー:理髪店主

ブライト:渡り床屋

ハヴィランド・マーティン:野宿していた紳士

アルフレッド・モアカム:仲介業者
モアカム夫人:その妻

アンプルティ:警部
グレイシャー:署長
オーモンド:巡査




「死体をどうぞ」の感想(ネタバレあり)

今回の作品はめちゃくちゃ長く感じました・・・
前回の「五匹の赤い鰊」と同様、解決にいたるまでの過程がめちゃくちゃ長かったです。

途中までは面白かったんですが、暗号を説明している場面があって思わず飛ばしてしまいました。(割かれたページ数になんだかセイヤーズの意地を感じた・・・)

事件の行ったり来たりがすごい

今回、死体を発見したのはハリエットです。
ミステリ作家という設定だからか、血まみれの遺体の調査をすぐに行なったのは何とも豪胆な女性だなーと驚きました。強すぎる。

ピーター卿が合流して二人でタッグを組んで調査を行なっていくのですが、事件の複雑さが凄まじいです。
余計な描写が多くて冗長に感じ、ぶっちゃけもったいないなと思いました。(好きな人は好きなタイプの作品だと思いますが)

殺されたのはアレクシスというダンサーです。
ただし、遺体が見つからないのと、身につけていたカミソリで自殺をしたのではないかという線が濃厚だったため、仮定で調査がスタートしました。

その後、いろいろと調べていくうちに容疑者なる人物が何人か上がってきたのですが、みんな面白いくらいにアリバイがあります。
ここからめちゃくちゃ長かったです。

結局最後もすっきりしない終わり方で、個人的にめちゃくちゃ気持ち悪かったです。
容疑者の行動などもなんかにまとめないと訳わからなくなったほどなんで、事件自体は微妙でした。

ハリエットとピーター卿の関係

ハリエットといえば、「毒をくらわば」で登場したばかりでしたが、今回は二人の関係が少し進んだ感じになります。
しかし調査を協力していく中で、二人の会話に所々”男と女”の会話が垣間見えるからです。

ピーター卿はハリエットに惚れているので、毎回口癖のごとく彼女にプロポーズするのですが、ハリエットは毎回つれなく断ります。(まじでかわいそう・・・)
でも彼女もまんざらでもない様子で、ピーター卿のことを意識します。

いくつかあるのですが、例えばハリエットのドレス色をピーターに聞いて、勧められたクラケット(葡萄酒の色)を着てしまうとか。
基本的に女性は好きなものを着たいのですが、完全にピーター卿を意識している証拠ですね。その後二人で踊っていたシーンはファンにとってたまらない描写だと思います。

ただ、後半で二人は一度大きな喧嘩をします。
元々ハリエットはピーター卿に救ってもらった恩があり、彼女の中ではそれがどうも気に入らないようでした。
甘えられないというか自立心の強い女性なのかもしれません。

それに対してピーター卿は、いつまでも彼女が自分に恩を感じてることを引きずっているのが我慢ならないようでした。
ピーター卿からすると、純粋に一目惚れしてプロポーズしているのに、なぜ真正面から受け取ってくれないのかという不満でしょう。

読んでいて完全にピーター卿に同情してしまうほど、なんとも言えない二人の関係が興味深かったです。
果たしてこの後二人の仲は進展するのでしょうか?

個人的には別にハリエットじゃなくてももっと良い女性がいそうなもんですが・・・強いタイプの女性が好きなのかもしれないですね。
もしくはセイヤーズの理想女性像がハリエットだったり。ピーター卿も理想像ですから、やっぱり二人をくっつけたいのかも。




まとめ

感想を書いてて思い出したのですが、ピーター卿の戦争から受けた心の傷は癒えたのでしょうか?
1巻を読んで以来、そのような描写がなかったので気になりました。セイヤーズ、忘れた?

それにしてもこのシリーズもそろそろ読み終わりそうなんで、果たしてどう終わるのか楽しみです。