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動く指(アガサ・クリスティ)のあらすじと感想|悪質な手紙の意図は?

動く指(アガサ・クリスティ)のあらすじと感想|マープル3巻目

動く指(アガサ・クリスティ)とは

「動く指」とは、著者アガサ・クリスティが書いたマープルシリーズの3巻目にあたるミステリー小説です。
今回の主人公は戦争で負傷したイケメン軍人のジェリー・バートンが、療養のために訪れたリムストックの町で起きた事件です。

マープルはぎりぎりまで登場しないので、ファンにとってはやきもきすると思いますが、物語としても面白いのでぜひ読んでいただきたい作品です。
今回は「動く指」について感想を語っていきます!

追記:
本書に登場するデイン・カルスロップ夫人は、のちに以下のシリーズで登場します。(オリヴァ夫人と共演)
・蒼ざめた馬
・ひらいたトランプ
・マギンティ夫人は死んだ

ミス・マープルシリーズの読む順番について

こちらのシリーズについては以下で解説しています。ご興味ある方はぜひ御覧ください!

【決定版】マープルシリーズ(アガサクリスティ)の読む順番一覧|全17巻/完結済み
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アガサ・クリスティのおすすめ作品については以下でご紹介しています。

アガサクリスティおすすめ世界ランキングTOP22|初心者も読みやすい隠れ名作もご紹介
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動く指(アガサ・クリスティ)のあらすじ

あらすじ
傷痍軍人のバートンが療養のために妹とその村に居を構えてまもなく、悪意と中傷に満ちた匿名の手紙が住民に無差別に届けられた。

陰口、噂話、疑心暗鬼が村全体を覆い、やがて名士の夫人が服毒自殺を遂げた。
不気味な匿名の手紙の背後に隠された事件の真相とは?ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務める。

という感じで、マープルが2人の探偵指南役を務めるというなんとも珍しいことが書いてありますが、実際読むと1人が正しいかなと思います。
先程も言いましたが、マープルは最後らへんにしか登場せず、事件について考えていくのは今回の主人公であるジェリーです。

ジェリーが案外鋭くて穏やかな性格をしてるので、読者としてはとても読みやすい主人公でした。

実写ドラマもある

ちなみにこの作品はBBC(イギリスの放送局)でドラマ化もされています。
個人的に見応えがあって面白かったので、気になる方は観てみてください!
今回はシーズン1の4、5話になります。

配信されている動画サービス
※各リンクをクリックすると、直接「マープル」の動画ページに飛びます。

基本的にどこの配信サイトも30日間は無料なので、お試しで入ってみてもいいかもしれません。
ちなみに私はアマゾンプライムに入ってるので、そちらで見ました。



動く指(アガサ・クリスティ)の感想(ネタバレあり)

こちらの作品は、ファンとしては必読です。(シリーズを初めての人はおすすめしないです)
他の巻と違って、閉鎖的な町のコミュニティの様子と、主人公のジェリーらのロマンスを楽しむ巻だと思います。
ミステリーはそこまで派手ではなかったです。

個人的にはあまりヒットしなかった作品で、どちらかというと1、2巻のほうが面白かったかな〜と思いました。

※1巻「牧師館の殺人
※2巻「書斎の死体

今回の謎は以下の二つです。

・町の住民たちに誹謗中傷の手紙を送ってる人は誰か?
・最初の被害者であるシミントン夫人は、本当に服毒自殺を行ったのか?

誹謗中傷の手紙を送った人物とは?

恐らくミステリー好きだと数ある伏線の中ですぐにピンときた方が多いと思いますが、手紙の送り主=事件の犯人ということは誰でも気づくと思います。
ただ、どういう意図があって手紙を「無差別」で送るのかは終盤にならないとわかりません。個人的に悩んだところでもあります。

最後の謎解きで、マープルが手紙の内容から送り主を想像し、そこから犯人を導く解き方をしていたのですが、これが一番面白かったです。

ジェリーとジョアナ、兄妹のロマンス

女性の読者はキュンとするであろう、今回の目玉は主人公たちのロマンスです。
ジェリーは戦争と怪我で疲れていたのと、妹のジョアナは失恋した後だったので2人とも休息を求めて、この町に来ました。

町で暮らしていく中で、ミーガンという女性が町中から嫌われていることを知り、ジェリーは同情を寄せます。
反対に妹のジョアナは、町の医師であるオーエンから何故か避けられており、その出来事をきっかけに彼のことが気になり始めます。(ジョアナは美人なので、そういう態度を取られることに慣れていなかった模様)

個人的にはジョアナのロマンスが面白かったのですが、どちらも素敵な最後を迎えるので、ぜひご一読ください。

都会と田舎のコミュニケーションが全く違う

リムストックの町に訪れたジェリーと妹のジョアナは、住民たちの考え方やコミュニケーションのとり方などに戸惑います。
ジョリーとジョアナは以前からロンドンで生活していたので、近隣との交流は少なかったと思います。

しかし、町に来ると住民たちは少ない娯楽の一つとして、お互いが何をやっているのかを逐一知りたがります。
そしてすぐにそれを他人に話すので、あっという間に町中に噂として広まってしまいます。

その出来事に対して兄妹は動揺するんですが、ココも結構面白いポイントです。

この都会の人たちと田舎の人たちのコミュニケーションの対比が、この作品の見どころだなと思います。



まとめ

いかがでしたでしょうか。
個人的にヒットしなかった作品といっても、あくまでマープル作品の中での話です。
アガサ・クリスティ作品は読ませる力が強いので、物語としてはもちろんクオリティが高いです。

ただ、やっぱりシリーズの作品は事件が地味だな、と改めて感じました。うーんしょうがないかな。