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バートラム・ホテルにて(アガサ・クリスティ)のあらすじと感想|五つ星ホテルの裏の顔

バートラム・ホテルにて(アガサ・クリスティ)のあらすじと感想|五つ星ホテルの裏の顔

バートラム・ホテルにて(アガサ・クリスティ)とは

「バートラム・ホテルにて」とは、著者のアガサ・クリスティーが書いた名探偵マープルシリーズの10巻目に当たるミステリー小説です。

ロンドンで銀行強盗などの事件が多発していた裏で、バートラムホテルでも不可解な事件が起こります。
果たして、2つ事件がどう繋がっていくのか?が見どころとなっている作品です。

これまたマープルの中でも面白いミステリーなので、ぜひ読んでいただきたいです。
今回は「バートラム・ホテルにて」について感想を語っていきます!

ミス・マープルシリーズの読む順番について

こちらのシリーズについては以下で解説しています。ご興味ある方はぜひ御覧ください!

【決定版】マープルシリーズ(アガサクリスティ)の読む順番一覧|全17巻/完結済み
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アガサ・クリスティのおすすめ作品については以下でご紹介しています。

アガサクリスティおすすめ世界ランキングTOP22|初心者も読みやすい隠れ名作もご紹介
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バートラム・ホテルにて(アガサ・クリスティ)のあらすじ

あらすじ
古き良きエドワード朝時代の面影を今なお残すバートラム・ホテル。
ミス・マープルも淡い過去の思い出を求めて訪れた客のひとりだった。

だが、その優雅な雰囲気の陰に彼女が見たのは、巧妙にしくまれた大陰謀……
はたして巻き起こった驚愕すべき犯罪とは? 香り高き本格ミステリの逸品!

マープルの甥であるレイモンドから旅行をプレゼントされて、ロンドンのバートラムホテルに滞在します。

そこでまさかの牧師失踪事件が起こります。
しかし、マープルは牧師が失踪したとされる日の深夜に、ホテルで牧師の後ろ姿を見かけます。

一方で、巷では各地で銀行強盗などの、悪組織による犯罪が多発しておりました。

警察ではどうも尻尾をつかめず、捜査が難航していたところで、牧師の失踪事件でバートラムホテルに調査へ行きます。

珍しくマープルがあまり活躍しない作品で、代わりにデイビー主任警部がかなり活躍します。
このキャラがかなりの切れ者だったので、マープルが居なくてもかなり楽しめます。

実写ドラマもある

ちなみにこの作品はBBC(イギリスの放送局)でドラマ化もされています。
個人的に見応えがあって面白かったので、気になる方は観てみてください!
今回はシーズン2の5、6話になります。

配信されている動画サービス
※各リンクをクリックすると、直接「マープル」の動画ページに飛びます。

基本的にどこの配信サイトも30日間は無料なので、お試しで入ってみてもいいかもしれません。
ちなみに私はアマゾンプライムに入ってるので、そちらで見ました。



バートラム・ホテルにて(アガサ・クリスティ)の感想(ネタバレあり)

マープルシリーズの中でも上位に食い込むほど、面白く読みました。
なんだかシリーズ後半のほうが良い作品が多い気がします。

この作品の面白い点は、以下の4つです。

・ホテルの真実と後味の悪さが良い
・バートラムホテルの描写
・フレッド・デイビー警部のキャラの良さ
・エルヴァイラについて

ホテルの真実と後味の悪さが良い

今回は一見関連がなさそうな2つの事件を並行的に進めています。

1つは、ロンドンで騒がれてる銀行強盗などの大規模事件。
もう1つは、バートラムホテルにて起こる、牧師の失踪事件とドアマン発砲事件。

さすがにミステリー歴長い読者なら、何かしら関連してるというのは察することができると思いますが、最後はまさかの展開でみんな驚いたと思います。
トリックなどは伏せますが、大きな事実の一つにバートラムホテルが犯罪の拠点になっていた、という点です。

本当にびっくりしちゃって、マープルが最後の謎解きで「なるほど、今までホテルに違和感を感じていたのはこれだったのか〜!」と思わず感心してしまいました。

思えばホテルの描写が多めだったのも、そこにいくつか伏線は張っていたからなんですね。
そして、最後は犯人を捕まえられずに終わります。

この後味の悪さが、本作の良さを非常に引き立ててると言っても過言ではありません。
マープルシリーズは、これくらいほろ苦いほうが読みがいがあって面白いです!

バートラムホテルの描写

物語の最初はバートラムホテルがいかに素晴らしいところか、という描写から始まります。
この点は普通に興味深い場面で、きちんとお客様が求めている理想に応じたサービスを提供していました。

例えば、昔ながらの老人たちには慣れ親しんだマフィンやシードケーキでアフタヌーンティーを提供し、部屋は旧英国調で揃えています。
(※シードケーキとは、キャラウェイシードというスパイスを使ったほろ苦いケーキ)

反対にアメリカなどの他国の観光客には、アメリカ文化に合った食事と部屋を提供します。

このお客様至上のサービスが現実に存在してたら、絶対有名になると思います。それくらい上手いやり方だなと思いました。

ちなみに、バートラムホテルは「ブラウンズ・ホテル(Browns Hotel)」という実際に存在するホテルがモデルです。

市内で最古のホテルだそうで、とても綺麗ですね〜!こんなホテルに泊まってみたいです。リンク張っているので、ギャラリーとかぜひ御覧ください。

→ブラウンズ・ホテル(Browns Hotel)

フレッド・デイビー警部のキャラの良さ

今作はマープルの登場シーンが少なく、事件が起こってからはデイビー主任警部が活躍していました。
彼がかなりの切れ者で、ぶっちゃけマープルではなく彼が主役でも良かったのでは?というほど良い働きをするキャラでした。

特にバートラムホテルの支配人や秘書などに聞き取り調査をするシーンなど、少し話しただけで怪しんでたのは流石の嗅覚でした。

思えばバトル刑事となんだか通ずるものがあるんで、クリスティは刑事ものを書くのも上手いですね。


バトル警視シリーズ(アガサクリスティ)の読む順番一覧|冷静沈着な警視
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エルヴァイラについて

読んでいて、非常に不愉快になったのがエルヴァイラという若い娘です。
ひょんなことから莫大な遺産を相続して、何故か命を狙われる羽目になります。

かなりの美人で気の強い女性という描かれ方をしてるんですが、途中であることを確かめるために保護者の目を盗んでロンドンを旅立ちます。
その際に友達に資金捻出のために協力を依頼するんですが、このやり方が汚いです。

友達が知り合いの店の外で事故を起こして、騒ぎになってる隙に金目のものをちょろまかすという悪いことをしました。
まあ本人は借りるだけで後日返すことをしたんですが、それでも不誠実な女性だなと。

猫かぶってる上に直情的なタイプで、珍しく嫌いになったキャラでした。
案の定、最後も母親を盾にぬけぬけと逃げやがったので、絶対に捕まえてほしいものです。



まとめ

舞台設定と最後の展開が面白かったので、個人的にはとても良かったです!
一つ不満があるとすれば、あんまり論理的ではなかったところですかね〜でもそれよりも物語が面白かったのでバッチグーです!

イギリスの情景がより感じられるこの作品を、ぜひいろんな人にも読んでいただきたいです。