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「殺しへのライン」のあらすじと感想|一体誰が嘘をついているのか?

「殺しへのライン」のあらすじと感想|一体誰が嘘をついているのか?

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「殺しへのライン(アンソニー・ホロヴィッツ)」とは

「殺しへのライン」とは、著者のアンソニー・ホロヴィッツが書いた、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの3巻目になります。

1,2巻から引き続き、今回の謎も犯人を当てるフーダニットミステリー作品です。
相変わらず、著者のアンソニーはかなり詳細に事件を描写しているので、読者に公平なミステリーになっています。

今回は「殺しへのライン」をご紹介いたします。

アンソニー・ホロヴィッツの作品について

今回のシリーズや他のシリーズの詳細については、以下でまとめています。合わせて御覧ください!


ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結


カササギ殺人事件シリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結
カササギ殺人事件シリーズ(アンソニーホロヴィッツ)の読む順番一覧|未完結




「殺しへのライン」のあらすじと登場人物

『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。
プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。

どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。
椅子に手足をテープで固定されていたが、なぜか右手だけは自由なままで……。

年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』『殺しへのライン』に並ぶ、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊! 

時間軸は「メインテーマは殺人」がまだ発行されていなく、小説家アンソニーは2巻目もまだ書けていない状態です。
今回は「メインテーマは殺人」のプローモーションで、オルダニー島の文学フェスにアンソニーとホーソーンの二人は参加します。

しかし文学フェスのパーティーの後日、文学フェス援助者であるチャールズが、椅子に座ったまま殺されているのが発見されます。
椅子に左手・両足首を縛られ、右手は自由のままの状態で首にペーパーナイフが刺さっていました。

どうやら被害者はオルダニー島の住人たちから恨まれている様子で、誰もが彼への動機を持っています。
果たして犯人は誰なのでしょうか?

登場人物(少々ネタバレ)

ダニエル・ホーソーン:元刑事。色々あってロンドン警視庁の顧問で、警察の案件を受けて捜査している

アンソニー・ホロヴィッツ:本作の語り手。「アレックス・ライダー」など著名な作家

ジュディス・マシスン:文芸フェスの主催者
コリン・マシスン:ジュディスの夫。オルダニー島議会の議員で法廷弁護士

マーク・ベラミー:料理人
キャスリン・ハリス:マークの助手

エリザベス(リズ)・ラヴェル:霊能者
シド・ラヴェル:エリザベスの夫

ジョージ・エルキン:オルダニー島在住の歴史家

アン・クリアリー:児童文学作家

マイーサ・ラマル:フランス人の朗読詩人

チャールズ・ル・メジュラー:オンライン・カジノ「スピン・ザ・ホイール・コム」のCEO。故人
ヘレン・ル・メジュラー:チャールズの妻。故人
デレク・アボット:チャールズの財務顧問

ヘンリー・ケリベル:医師

テリー・バージェス:タクシーの運転手

テリー・バージェス:ガーンジー警察の本部長補佐
ジョナサン・トロード:ガーンジー警察の特別巡査

ヒルダ・スターク:ホロヴィッツの著作権エージェント




「殺しへのライン」の感想(ネタバレあり)

前作に引き続き、とても読み応えがある作品で面白かったです!
個人的にはホーソーンの”嫌なキャラ”が1巻のときと比べて、今回は少し薄かった気がします。これは計算ずくなのかな・・・?

特に良かったのは「犯人の動機」がミスリードしやすくなっていた点です。著者に一本とられました。

よかった点をまとめると、

・「犯人の動機」に一本とられた
・タイトルの”遊び”
・ホーソーンの謎

以下語っていきます!

犯人の動機が一本とられた!

今回の殺人事件は、非常に犯人の動機が見つけにくかったです。

被害者のチャールズがお金持ちで島の住人をはじめ、周りの人からよく思われてなかったことから誰もが動機を持っていました。
動機の候補としては、
・島に送電線を張るNAB計画に反対している人
・チャールズの遺産を狙っている人
・チャールズに辱められた過去を持つ人など

いろいろ考えながら読んでたのですが、全然違かったので完全に一本取られました。
よくよく考えれば至る所にヒントが隠されていたのですが、これを拾うのが難しかったです。

例えばチャールズの遺体の状態。右手だけがなぜ椅子に縛られていなかったのか?(これわかった人がいたらすごい)
他にも右手から高級時計がなくなっていたり、床にコインが落ちていたり、チャールズの車のフロントにスペードのAが挟んであったり、不思議なことが多く起こります。

それらが最後の最後で伏線回収された時は、とても驚きました…
状況証拠でいくつか事件に関係のないものがあるんですが、それに惑わされずに犯人を当てられたらすごいと思います。

タイトルの”遊び”

今回のタイトルは「殺しへのライン」というタイトルですが、物語の中で「ライン」という言葉がいろんなところに意図的に使われていて、言葉遊びとしてとても面白かったです。

送電線(パワーライン)

オルダニー島では送電線を引くNAB計画が進んでいて、一部住人からは景観が損なわれるということで反対していました。
しかし被害者のチャールズを筆頭とした一部の住人は、自分たちに利益が得られるために賛成していたため、今回の殺人事件はこの動機がらみではないかと言及されていました。

殺しへのライン

この言葉もいろんなところで意図を含めているのですが、最後の最後、犯人が犯した罪をホーソーンが暴いている時に、説明しながら「殺しへのライン」の意味を含んでいました。

・恐らく一つは犯人が犯行に至った事実が、「殺しへのライン」に含まれる。
・もう一つは、直接的に関係のない被害者を殺害したことについても「殺しへのライン」に含まれる。

また、最後以外でも、デレク・アボットが自殺するシーンがありました。
ホーソーンが関わったという証拠は出ていませんでしたが、これも、一種の「殺しへのライン」を含んでいるのではないかと思いました。

恐らくですが、今回の作品を原書で読むと「line」というワードが大量に出てくると思います。
和訳だとそこまで拾えなかったので上記ぐらいしか見つからなかったのですが、そういった遊びは中々面白かったです。
相変わらず著者は職人芸みたいなことをしますね〜

ホーソーンの過去

2巻の感想でも書きましたが、前回は、
・ホーソーンがリースにいた
・ホーソーンに協力者がいた
などが明かされました。

今回は最後の最後で、アンソニーにデレク・アボットから絵葉書が届きます。
そこには「ホーソーンにリースのことを聞いてみろ」ということばが書かれていました。

リースといえば、2巻目にマイク・カーライルという人物によってホーソーンはリースにいた、という事実が明かされていました。
一体リースにいたホーソーンに何が起こったのでしょうか?

現時点での私の想像になりますが、デレク・アボットとホーソーンの関係から察するにホーソーンの子供(もしくはリースにいた頃に知り合った子供など)が何かしらデレク・アボットに関わって危害を加えられた、ことが理由かなと思いました。
また、彼が刑事捜査課にいる前に児童保護課にいたこと、デレクが扱っていたのが未成年のポルノだったことから、子供関連なことは間違いなさそうです。

デレクがわざわざこんな葉書をアンソニーに送るということは、リースでの思い出は”ホーソーンにとって良くないこと”だと思います。
ただなぜ自分がリースにいたことを隠したいのかは謎ですが…。

とりあえず今回わかったことは、
・ホーソーンは39歳
・二年ほど児童保護の部署にいて、その後刑事捜査課
・一人っ子

くらいです。まだまだ彼についての謎はありそうですが、早く4巻が読みたいところです!




まとめ

今回は初めて、出版社さんの先読みキャンペーンで一足先に原稿を読ませていただきました。
大変面白かったので、もちろん文庫本でも購入しますが、また4巻目でも同じ企画をやってくださったら嬉しいなと思っています。

まだ読んでない方はぜひ読んでみてください!