「青空の卵」坂木司のひきこもり探偵シリーズ|初心者におすすめの日常ミステリ

「青空の卵」坂木司のひきこもり探偵シリーズ|初心者におすすめの日常ミステリ

「ひきこもり探偵シリーズ」とは

「ひきこもり探偵シリーズ」とは、著者の坂木 司が書いた、ひきこもりの青年鳥井が解決する日常ミステリ小説です。

第1巻の「青空の卵」は著者が一番最初に書いた処女作です。

軽めの日常ミステリものなんですが、ミステリ初心者でも気軽に読めて面白い作品だと思います。

また、ミステリだけでなく、主人公の坂木と鳥井を始めとした登場する人たちの人間ドラマが非常に魅力的な作品です。

今回は「ひきこもり探偵」シリーズをご紹介します。

「ひきこもり探偵」シリーズの登場人物

ひきこもり探偵の鳥井

このシリーズの探偵役である、鳥井 真一(とりい しんいち)です。

中学生の頃にいじめが原因で不登校になり、27歳になった今でもひきこもりです。外出は一切せず、他人と関わることを極端に嫌います。

唯一無二の友達である坂木のみ一緒にいられるという、極端な人間嫌いです。

普段はプログラマー(SE)として、生計を立てているので生活には困っていません。また、料理が得意(凝り性)で、坂木に毎晩夕飯を振舞っています。

彼は頭の回転が速く、夕飯の時に坂木が話す日常ミステリを、話を聞くだけで解いてしまいます。

語り手の坂木

鳥井が唯一一緒にいられる、友達の坂木 司(さかき つかさ)です。

27歳で、外資系保険会社に勤めているサラリーマンです。そこで働いてる理由としては、鳥井と一緒にいる時間が取を取るため、まとまった休みが取れる会社がよかったそうです。

鳥井があまり外に出ないことを心配して、たまに近所のスーパーなどに連れて行きます。(鳥井一人では行けないため)

また、坂木はよく泣いてしまう性格なんですが、普段は泣かないように我慢をしています。

なぜなら鳥井は坂木が悲しんだり泣いたりすると、同じように鳥井も幼少期に還ったように泣いたり悲しんだりしてしまうからです。

一心同体な二人ですが、このシリーズは二人の成長を描く作品でもあります。

「青空の卵」はBL作品なのか?

鳥井さんと坂木さんの関係があまりにも親密なので、BLなのかと思うかもしれません。

結論から言うと、BLではありません。

二人が恋人という描写もなく、あくまで友情関係の延長線上です。

ただ友情にしては、心の距離が近すぎやしないか…と思わなくもありません。お互いが共依存関係なので、どちらかという親愛のようなものだと思います。

「ひきこもり探偵」シリーズの読む順番

1巻 青空の卵

あらすじ

僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。

複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。

料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。

鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。

謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。

二人の日常ミステリです。

最初は鳥井と坂木の関係に対して、特に説明はなく物語は進んでいきます。後々二人が一緒にいる経緯が明かされます。

とにかく坂木さんが、鳥井に対して優しい。

子供の頃に読んだときはひたすら優しい人だな〜と思っていましたが、大人になって読むと坂木さんの優しさって何か理由があるのではないかと疑ってしまいます。(純粋な自分よいずこへ…)

2巻 仔羊の巣

あらすじ

自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。

慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答は…。

また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。

坂木さんが持ち込む事件によって色々な人と繋がりが出来た鳥井さん。

少しは巣から出られたかなと思えば、坂木さんと鳥井さんは共依存関係が明確に現れる巻です。

お互いがいないとどうしようという状態で、どう考えても良い関係ではないだろうなと思っても、読んでる側はただ見守ることしかできません。

3巻 動物園の鳥

あらすじ

春の近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。

僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。

高田さんが働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。

動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか―。鳥井は外の世界に飛び立てるのか。

最終巻は、鳥井さんのトラウマである「いじめ」がテーマになっています。

動物への虐待事件が発端で、鳥井さんがトラウマと戦います。後半で、中学時代にいじめられた時の想いを語る場面があるのですが、胸を打たれました。

いじめの問題は当事者以外、本当の気持ちというのはわからないと思いますが、事件がきっかけによって自分を見つめ直し、一歩前に進めたことはすごいと思います。

坂木との依存関係はこのままかもしれませんが、最終巻らしく気持ちの良い終わり方です。

まとめ

いかがでしたか。

この二人は共依存関係なので、BLのような雰囲気を持つ二人ですが、BLではありません。

基本的にお互いの気持ちは友情の延長線上ですし、それはこれからも変わらないことだと思います。

お互いに依存している状態は、客観的に見るとあまり良くない印象を持ちますが、彼らの関係はこれで良いのだと思いました。

彼らのように深く付き合える人間なぞ、多くはないでしょうが、そんな彼らがちょっぴり羨ましいと思った私でした。