孤島の鬼(江戸川乱歩)のあらすじと感想|出版社別の作品一覧

孤島の鬼(江戸川乱歩)のあらすじと感想|出版社別の作品一覧

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「孤島の鬼」(江戸川乱歩)とは

「孤島の鬼」とは、著者の江戸川乱歩が1930年に執筆した長編ミステリー小説です。
こちらは江戸川乱歩が執筆した長編の中でも名作と呼ばれているほど、人気の作品です。

いろいろと設定には突っ込みどころがあるのですが、それでも怪しい雰囲気が満載で先が見えないストーリー運びはさすがのクオリティーです。
今回は「孤島の鬼」について感想を語っていきたいと思います。

※「孤島の鬼」はいろんな出版社で発売されています。こちらでまとめていますので、気になる人は合わせてご覧ください。

江戸川乱歩先生の作品一覧や、人気シリーズについては以下でご紹介しています。

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「孤島の鬼」のあらすじと登場人物

あらすじ
蓑浦金之助は会社の同僚木崎初代と熱烈な恋に陥った。
彼女は捨てられた子で、先祖の系図帳を持っていたが、先祖がどこの誰ともわからない。

ある夜、初代は完全に戸締まりをした自宅で、何者かに心臓を刺されて殺された。
恋人を奪われた蓑浦は、探偵趣味の友人、深山木幸吉に調査を依頼するが……! 乱歩の長編代表作。

この物語は、主人公が大事件の後に小説として残そうと書いたものを語る形式でスタートします。
当時の主人公である蓑浦金之助(みのうら かねのすけ)は、25歳で商業学校を出た後に会社員として働いていました。

その会社で出会った同僚の木崎初代と恋人関係になるものの、ある日何者かに心臓をひと突きされて殺されてしまいました。
愛する恋人を殺された蓑浦は、復讐として初代を殺した犯人を突き止めようと、友人で自称探偵の深山木幸吉に相談します。

と、ここまではなんら普通のミステリー小説と変わらないあらすじなんですが、この後、事件の真相を掴んだとされる深山木幸吉が殺されます。
しかも、砂浜で子供たちと遊んでいる中という、不可解な状況で起きます。

二人の被害者が出たこの事件の犯人は一体誰なんでしょうか?
何が「孤島の鬼」なのか、考えながら読むと一層面白いと思います。

登場人物

蓑浦 金之助(みのうら かねのすけ):25歳。貿易会社に勤める本作の語り手。

木崎初代(きざき はつよ):蓑浦の同僚。彼と恋に落ちるが結婚を目の前に何者かに殺害される。

諸戸 道雄(もろと みちお):蓑浦の学生時代の先輩。蓑浦に想いを寄せている。蓑浦より学歴、収入が上の研究者。

深山木 幸吉(みやまぎ こうきち):蓑浦の友人、自称探偵。かなりモテるが、蓑浦が気になっている。

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「孤島の鬼」の感想(ネタバレあり)

今作は非常に面白かったです。
推理小説でもあり、冒険談でもあり、恋愛小説でもあるという、一度にいろんなテーマの小説を読んだ心地がしました。

大きなテーマは「同性愛」についてだと思いますが、特に性描写はないので誰でも読めます。
ただし事件が凄惨なので、子供にはちょっとおすすめしないです。

あんまりキャラクターに感情移入するタイプではないのですが、今回ばかりは諸戸道雄に同情せざるおえないほど、今作で一番不憫なキャラでした。
それは後ほど語るとして、特に良かった要点をまとめます。

・江戸川乱歩特有の気持ち悪さが良い
・キャラクターの気持ち悪さもいい味が出ている

一体どういう事件だったのか?

今作は風呂敷を広げすぎた感がありましたが、一体どういう事件だったのでしょうか。
整理していきましょう。

まず最初に蓑浦の恋人である初代が何者かによって胸に包丁を刺されて、殺されてしまいます。

事件現場には荒らされた跡から、何か目的を持って犯人は初代を殺害したことがわかります。
その後、蓑浦の友人、深山木に相談して彼が調査し、事件の真相がわかりかけたところ、何者かに砂の中で胸にナイフを刺されて殺されました。

二人も被害者が出てしまったこの事件に共通したことは、「初代の系譜図」と「手記」を持っていたことです。
犯人が「初代の系譜図」を求めて殺人を犯してたわけですが、その系譜図の表紙の裏には暗号文が書かれていました。

神と仏がおうたなら 巽の鬼をうちやぶり 弥陀の利益をさぐるべし 六道の辻に迷うなよ

この暗号文が指し示すことは、どこかに眠っている財宝の存在でした。それを犯人はどこからか嗅ぎつけて奪うべく、犯罪をおかしたのです。

ぶっちゃけ読んでいてメインの事件よりも段々と明かされる犯人の犯罪が恐ろしすぎて、事件が霞んでいました。
犯人の犯罪については今回語りません。気持ち悪すぎて想像すると震えが止まらないからです。

途中から風呂敷を広げすぎかなと思ったのですが、うまくまとめたのは著者の手腕ですね。

江戸川乱歩が書きたかった諸戸の愛

恐らく江戸川乱歩が一番書きたかったであろうところが、この諸戸の蓑浦への深い愛情です。
描写に力が入りすぎて、もしかして諸戸は乱歩自身の恋愛観を投影しているのか?と思われるほど、詳細に描かれています。

いくつかそういった場面があるのですが、一番は蓑浦の白髪の原因となった”洞窟での諸戸の求愛”です。

絶対絶命での、諸戸の求愛

財宝を探すために、蓑浦と諸戸は隠されているであろう洞窟へ潜入するのですが、途中で命綱のロープが切れてしまい、洞窟内で迷子になってしまいました。
また、満潮のせいで水が入ってきてしまい、二人は絶体絶命の状況に陥ります。

その時、諸戸は死ぬ前にと、蓑浦に今までの想いをぶつけます。
詳しくはぜひ読んでほしいのですが、これが非常に切ないです。
まさに慟哭という言葉が相応しいほど、彼の心うち全てで、蓑浦への愛情を語っています。

しかし、そんな彼に対して蓑浦は拒絶しました。
何度か諸戸に対して同情めいた感情を示していたのですが、いざ彼を友愛以上のものと考えると気持ち悪くてしかたなかったのです。(今まで諸戸に対して思わせぶりな態度を見せていたのにも関わらず)

そんな彼にショックを受けて、思わず蓑浦を襲ってしまった諸戸。
それに対して恐怖のあまり声も出なかった主人公の蓑浦。

そんな経験をしたために、蓑浦は白髪になってしまったという話でした。
最後に一番切なかったのが以下の部分です。

「君の頭は真白だよ」
 道雄はそう云って妙な笑い方をした。それが私には泣いている様に見えた。

孤島の鬼 | 青空文庫

いろんな出版社が出している「孤島の鬼」一覧

ここでは、今出版されている「孤島の鬼」のリストを載せます。

①青空文庫(無料)

まず、無料ですぐに読めるのは”青空文庫”です。(リンク
ただし、昔の書き方をしているので少しだけ読みにくいです。

他の出版社が出しているほうが、編集が入ってるので読みやすさを求めるならそちらのほうをおすすめします。
手軽に読むなら青空文庫がおすすめ。

②東京創元社(無料)

こちらはAmazonの「本読み放題サービス(Kindle unlimited)」に入っていれば、無料で読める作品です。
入ってなくとも、30日間は無料ですので読んだ後に解約すれば無料で読めます。

③海王社文庫 朗読CD付き(宮野真守)

今回私が読んだのがこちらです。
普通に読みやすい上に、表紙が「座裏屋蘭丸先生」が描かれているので美麗なイラストがまさにピッタリです!!
(文中に、挿絵はありませんのでご注意ください。)

また、声優の宮野さんが朗読しているCDがついています。これめちゃくちゃいいので一度は聞いてほしいです。
個人的におすすめの出版社でした。

④リブレ

リブレという出版社が出しています。こちらはキンドル・単行本とあります。
表紙が「咎井 淳(Guilt|Pleasure)」という人気のイラストレーターが書いています。めちゃくちゃリアルで素敵な絵です。
ですが、こちらも表紙絵のみですので、ご注意ください。

※ちなみに、同じイラストレーターさんで江戸川乱歩の他の作品も出版されています。



まとめ

江戸川乱歩の作品はいくつか読んでますが、今作ほど気持ちが悪く、切なく感じた作品はなかったと思います。
恐らく読む度に、感想が違う作品なんだろうなという気がしています。

まだ未読の方はぜひ読んでみてください。