スタイルズ荘の怪事件(アガサクリスティ)のあらすじと感想|ポアロ初登場回

スタイルズ荘の怪事件(アガサクリスティ)のあらすじと感想|ポアロ初登場回

「スタイルズ荘の怪事件」(アガサ・クリスティ)とは

「スタイルズ荘の怪事件」とは、著者のアガサ・クリスティーが1920年に書いた、名探偵ポアロシリーズの1巻目に当たるミステリー小説です。
作品の冒頭でも解説されているのですが、当時4~5社の出版社にこの原稿を送っても送り返されてしまっていたそうです。
しかしその後唯一拾ってくれたボドリー・ヘッド出版社が、今後の彼女の執筆活動の背中を押しました。

今回は「スタイルズ荘の怪事件」について感想を語っていこうと思います!




「スタイルズ荘の怪事件」のあらすじと登場人物

あらすじ
その毒殺事件は、療養休暇中のヘイスティングが滞在していた旧友の〈スタイルズ荘〉で起きた。
被害者は二十歳ほど年下の男と婚約した旧友の継母で、凶器はストリキーネだった。

粉々に砕けたコーヒー・カップ、事件の前に被害者が発した意味深な言葉、そして燃やされていた遺言。
雲をつかむような事件に挑むのは、灰色の脳細胞で難事件を解決する名探偵エルキュール・ポワロ。

ミステリの女王の記念すべきデビュー作が新訳で登場!

記念すべきポアロの初登場回です!語り手はポアロの親友であるヘイスティングズになります。

事件は至ってシンプルで、毒殺されたとされるスタイルズ荘の女主人エミリーは、亡くなる前に夫の名前を呟いて事切れました。

たしかに状況証拠や動機は全て、夫のアルフレッドが容疑者として指していたのですが、ポアロが彼を絶対に捕まえてはいけないと必死に止めます。

果たして犯人は誰なのでしょうか?
想像だにしていなかった人間関係などに驚くこと間違いなしです。

登場人物(ネタバレあり)

エルキュール・ポアロ:私立探偵
アーサー・ヘイスティングズ:ポアロの友人

エミリー・イングルソープ:スタイルズ荘の女主人
アルフレッド・イングルソープ:エミリーの夫
ジョン・カヴェンディッシュ:エミリーの義理の息子
メアリ・カヴェンディッシュ:ジョンの妻
ローレンス・カヴェンディッシュ:ジョンの弟

エブリン・ハワード:エミリーの友人

シンシア・マードック:エミリーの旧友の娘。薬剤師

ドーカス:メイド頭

マニング:庭師

ウィルキンズ:毒理学者

バウアスタイン博士:薬局の店員

ジェームズ・ジャップ:スコットランドヤードの警察
サマーヘイ:同警視

実写ドラマもあるよ!

ちなみにこの作品は映像化もされています。

洋画版は、ポアロ役デビット・スーシェが担当しています。
こちらは原作のままだし、ポアロ役はどハマりしてる俳優さんなんで、面白いです!

「シーズン3エピソード1 – #20 スタイルズ荘の怪事件」




「スタイルズ荘の怪事件」の感想(一部ネタバレあり)

やはりアガサ作品は読みやすい、その一言につきます。面白いくらいスルスル読める。
これが処女作とは思えないほどのクオリティが素晴らしいです。

ただ、やっぱり事件の前後関係が結構ごちゃごちゃしていたので、まだまだ彼女の初期作品だと感じられました。でもすごい。
ポアロシリーズと言ったらまず最初にこれを読んで、その後の名作の数々の違いを感じるべきだと思います。

どのような事件だったのか?

そもそも事件は、スタイルズ荘の女主人エミリーがストリキーネという毒で殺されたことから始まります。
ポアロはエミリーに恩があったので犯人を見つけるべく燃えるんですが、なかなか調査がうまくいきません。

それはそのはず、ほとんどの証拠は犯人をエミリーの夫アルフレッドを指し示したからです。
そこに疑問を持ったポアロは調査を続けるのですが、容疑者候補の彼彼女らは誰もが真実を話さず、尻尾を出しません。

ぎりぎりまで事件が動かなかったんですが、最後の最後でエミリーが亡くなる前の行動が全て明らかになり、まさかの犯人が炙りだされました。
トリックは思わず感心してしまいました。思えば手紙や強壮剤などの伏線は前半で張られていましたが、全然わからなかった…

最後の展開はとても面白かったです!

ヘイスティングズが語り手なんだけど・・・

今回は、ポアロシリーズでも数少ないヘイスティングズが語り手の回です。
ぶっちゃけて言うと彼がすこし邪魔でした。ホームズ&ワトソンでいうと、ワトソン役ですね。
途中でポアロのことをギャフンと言わせてやろうと思ってちょっと色々やるんですが、すぐ終わりましたし。

読者的にはヘイスティングズの視点だと偏っていて、しかも女性が大好きなので(すぐにプロポーズするし)思い込みがすごいです。
あの人は絶対にいい人だ!みたいな感じで主観を話すんですが、めっちゃ疑ってました。ある意味”信頼できない語り手”ですね。

ですが、逆に言うとポアロの行動を覆い隠してくれるので、著者的にはちょうどいい立ち位置のキャラだったのかもしれません。
ヘイスティングズファンには申し訳ないのですが、実はあんまり好きではないキャラでした。

人間描写が素晴らしい

既にもうこの作品で、アガサの人物描写の巧みさが表れていることがわかります。
10人以上も登場人物がいる中で、書き分けが非常に上手で、キャラごとに誰が話しているかわかりやすいです。

特に女性陣のメアリ、エヴリン、シンシアあたりの人物はよかったです。
ポアロが第一印象で人を判断してはいけない、と言ったとおり一癖も二癖もあってかなり楽しめました。

メアリの夫ジョンはうーんという感じでしたが、最後メアリが夫への態度が如実に表れていたシーンはよかったです。
思えばちょっと似てるなと思ったのが、マープルシリーズの「牧師巻の殺人」に登場するレナード夫妻です。

もしかしたらアガサは、愛に目覚めるもしくはやり直すみたいな夫婦が理想像なのかな〜と思ってます。なんだか彼女が可愛いですね。




まとめ

久しぶりにポアロシリーズを読み返しているんですが、やはり面白いですね。
スルスルと読めるところ、そしてキャラの書き分けがお上手なのが彼女の素晴らしい点だと思ってます。

まだ読んでない方はぜひご覧ください!

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