「麦の海に沈む果実/恩田陸」を読んでみた|閉鎖的な学園で起こる事件

「麦の海に沈む果実/恩田陸」を読んでみた|閉鎖的な学園で起こる事件

「麦の海に沈む果実」とは

麦の海に沈む果実」とは、著者の恩田陸が書いた学園ミステリー小説です。

主人公の水野理瀬という女の子が、2月にある学園へ転入し、そこでは不可思議なルールと学生たち、果ては殺人事件に遭遇する物語です。
学園もの×ミステリーが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。

夢か、はたまた現実かわからなくなるような表現で、恩田陸さんの独特なワールドが全開になっています。

今回は「麦の海に沈む果実」について感想を語っていきます。

「麦の海に沈む果実」のあらすじ

あらすじ

「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」

―湿原の真中に建つ全寮制の学園に、二月の終わりの日に転入してきた水野理瀬。彼女を迎えたのは、様々なしきたりや、奇妙な風習が存在する不思議な学校だった。

彼女と学校生活を共にする仲間、「ファミリー」もそれぞれに謎を抱えていた。功は、閉ざされたコンサート会場の中から失踪し、麗子は、湿原に囲まれて外に逃げ出せないはずの学園から消えうせていた。

残りのメンバーは、麗子はすでに死んでいるのではないか、と校長につめよる。

それに対し、校長が提案したのは、麗子の霊を呼び出す交霊会の実施だった。その場で理瀬に奇怪な現象が襲う。

「三月の学園」での奇妙な学園生活を送る理瀬の隠された秘密とは。

あらすじはまだ前半戦の話で、後半にかけてどんどん話が展開していき、奇っ怪な事件も起こっていきます。

物語の舞台になった学園は、理事長や校長を始め、かなり独自的な教育観を保つ学園です。

外の情報が一切入らない閉鎖的な学園の中では、「ゆりかご」「養成所」「墓場」といったヒエラルキーが存在します。

ゆりかご:親が過保護でいい学園に入れたいと思われて来た人たち。
養成所:学園内は教育の全てが整っているため、スキルを磨くためにやってきた人たち。
墓場:親などに存在を望まれないため、学園に入れられた人たち。

どういう経緯でこの学園に来たのかによって、生徒たちにとって学園が天国か鳥かごかが決まるということです。
そして生徒たちの中でもそれに基づいて上下関係を作る、といういじめのようなことも起こっています。

教育自体は、生徒たちのやりたいことを全て尊重するような夢の学校なんですが、校長のお気に入りの子がいる時点で差別がある学園です。

物語が進んでいくにつれて、こういった学園の裏側が明らかになっていくのが非常に見どころでもあります。

「麦の海に沈む果実」の感想・考察(ネタバレあり)

総合的に、とても面白かったです!
個人的に恩田陸さんは全作読んでるほど好きな作家さんで、「麦の海に沈む果実」も3回目くらい読みました。

物語中にはいくつか伏線やヒントがいくつかあって、読めば読むほど「あ、これだったのか」など考えさせられることがあります。

以下は私が気になった点をいくつかピックアップしていきたいと思います。(ネタバレありです)

クライマックスと黎二について

恐らく読者の中で、一番好きなキャラクターであろう男の子。
この学園の中では非常にまともな生徒です。最初は主人公に対してちょっと尖った態度を見せるけど、根は優しい奴です。

最後、理瀬の回想シーンで、理瀬を殺しに来た麗子から庇って黎二が殺されます。恐らく最後に理瀬に警告したのが黎二だと思います。
そのシーンがとても切なくて、胸にぐっと来ました。

そして最後に、本来の理瀬に戻った時に黎二の記憶を封印するところも切なかったです。
記憶をなくした時の理瀬は黎二に好意を持っていたけれど、本来の理瀬にとっては他人なんだろうな。

結局、黎二は理瀬の異母兄弟だったのでしょうか?

ヒントとしては、
・彼の家は400年続く家柄
・うじゃうじゃ異母兄弟がいること
・最後の質問ゲームで、校長が肉親だったという質問があったこと。(白3つ、黒6つ)

上記のことを考えると、確定ではないのですが確率は高そうです。

それにしても校長は中々な好色漢ですね。言葉悪いですが、ただのクズ野郎かなと思いました。

主人公の理瀬について

理瀬については、読み終わった後もまだまだ謎があります。
最後に校長から黒い紅茶を飲まされた後に、みんなの「声」が聞こえるシーンがあります。

あれは巫女かなんかのファンタジー的な力を持つんじゃないかなと個人的には予想しています。
でなきゃ校長から、「君は特別なんだよ」と言われないかなと。

今のところ校長のお気に入りは理瀬ですが、どうやら後継に熾烈な争いが繰り広げられていく模様です。
というか子供を殺人マシーンにするなんて怖ろしい家族・・・。

しかし、理瀬が自分の父のことを知っていたということは相当気に入られてますね。
異母兄弟であろう黎二は自分の父親が知らなかったようなので、理瀬はかなり優遇されていると考えると母親は相当いい血筋なのかなと予想します。

なんにしても狂ってますね、この一族。

まとめ

とりあえず気になった点を書いていきましたが、また書き足すかもしれません。

総合的には雰囲気がかなりあって面白い小説ですので、読んでない方は読んでみてください。

それでは続編へと続く!
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