子宝船(宮部みゆき)のあらすじと感想|きたきた捕物帖シリーズ2巻目

子宝船(宮部みゆき)のあらすじと感想|きたきた捕物帖シリーズ2巻目

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「子宝船(宮部みゆき)」とは

「子宝船」とは、著者の宮部みゆきが2022年に出版したきたきた捕物帖シリーズ2巻目になります。

今作も、主人公の北一がいろいろな事件を解決すべく奔走するのですが、なかなか切なく恐ろしい話に仕上がっています。
今回は「子宝船」について感想を語っていきます!

きたきた捕物帖シリーズについて

ちなみに読む順番や、関連作品などは以下でご紹介しています。


きたきた捕物帖シリーズ(宮部みゆき)の読む順番一覧|ぼんくらファンは必読!
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「子宝船」のあらすじと登場人物

あらすじ
江戸で噂の、「持つ者は子宝に恵まれる」という宝船の絵。しかし、赤子を失ったある家の宝船の絵から、なぜか弁財天が消えたという。
時を置かずして、北一もよく知る弁当屋の一家三人が殺される。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。

本書は、江戸深川の富勘長屋に住み、小物を入れる文庫を売りつつ岡っ引き修業に励む北一が、風呂屋の釜焚きなのに、なぜかめっぽう強い相棒・喜多次の力を借りながら、不可解な事件を解決していく物語。

北一の文庫づくりを手伝っているのは、欅屋敷の「若」や用人の青海新兵衛、そして末三じいさん。
岡っ引き見習いとしての北一を応援しているのが、亡き千吉親分のおかみさんや大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件のことをくまなく記憶している通称「おでこ」たちだ。

北一応援団とともに謎解き×怪異×人情が愉しめる、著者渾身の大人気シリーズ第二弾!

今回は、二つの事件が北一の身の回りで起こります。

一つは伊勢屋の源右衛門という人が書いた「宝船の絵」がきっかけで、赤子が亡くなるという事件が起きます。
しかも、赤子が亡くなった直後、「宝船の絵」に書いてあったはずの弁財天がいなくなっているという不吉な事象も起きてしまい大騒動になってしまいます。

もう一つは、北一が好きな弁当屋「桃井」が何者かによって一家が毒殺されてしまいます。
北一はショックを受けて、周りの人に助けてもらいながら下手人を探ります。

どちらの事件もなかなか読み応えのある話で、非常に面白いので1巻を読んだ方はぜひ読んでいただきたい巻です。

登場人物

こちらでは主要人物のみ掲載します。
公式HPでは、挿絵も掲載されていますので合わせて御覧ください!絵がかわいいんですよ〜!
公式HP

北一:文庫売りの見習い。16歳

松葉:千吉親分のおかみさん。盲目
おみつ:松葉の女中

勘右衛門:通称、富勘。長屋の差配人

栄花:「欅屋敷」の若様。北一文庫の絵の書き手
青海新兵衛:「欅屋敷」の用人

喜多次:長命湯の釜焚き

おでこ:凄まじい記憶力の持ち主。「ぼんくら」では小童だったが、現在では…?




「子宝船」の感想(ネタバレあり)

今作も非常に面白かったです!
特に、宮部みゆきさんの時代小説ファンなら懐かしいあのキャラたちのその後が知れるので、絶対に読んだほうがいいと思います。
読んでいて思わず感動してしまいました…。懐かしすぎて、もう一度関連作品を読みたくなったくらいです。

さて、今回は事件ごとに感想を語っていこうと思います。(ネタバレありですのでご注意を)

①子宝船

あらすじ
伊勢屋の源右衛門という人が書いた「宝船の絵」が不吉だという噂が経っていた。
なんでも赤子が亡くなってしまい、その直後の「宝船の絵」から弁天様がいなくなったという怪奇現象が起こってしまったのだった。
伊勢屋は「宝船の絵」を配った住民からの怒りが収まらず、富勘さんが仲介へと入ることになり…

この話は人間が怖くなる話で、ある意味ご近所付き合いの大切さを教えてくれているのかもしれません。

源右衛門としては、赤子が授からない夫婦に対してのおまじないのつもりで調子乗って書いたのだと思いますが、何かあると責任を問い詰められるのもなかなか理不尽だなと思いました。源右衛門も悪いのですが。

騒ぎを鎮めるために、北一が文庫で「弁天様がいない宝船の絵」を封印すること、政五郎親分が場を収めてくれたことの二つで事件は解決しました。
また、うわさを広めた人は治兵衛が予想を語っていましたが、なんとも嫌な気持ちになった人が多いと思います。(弁天様なしの絵を書いた人は最後に明らかになります)

赤子を失った母親の精神が病むのはわかりますが、それを他人のせいにするのもどうなんでしょう。
もっと他に方法はなかったのか、と思うこの頃です。なんともやりきれない事件でした。

そういえば、文庫を作る際に絵を書かれる若様がつに初登場したんですが、まさかの女性で一番びっくりしました…!!
若様というからに絶対男の子だと思ったんですが、どうやら深い理由があるようでいずれ明らかになるのが楽しみです。

勝手な予想では愛人、もしくは男の子が生まれないから男の子に扮している、もしくは心が男の子か、としています。果たして。

②人魚の毒

あらすじ

一家三人で営むお弁当屋の「桃井」が、何者かによって毒殺されてしまった。
三人が亡くなっている現場にいた北一は、怪しい女を見かける。その女のうなじから首にかけて円の中に銀杏の葉が書いてある彫り物がしてあった。
北一たちは女の似顔を書いて必死に探すが…

個人的に、この話が一番面白かったです。
北一のお気に入りの弁当屋で、町の人からも親しまれていた桃井一家が凄惨な状態で発見された時は、北一の悲しみがひどく伝わってきました。

何者にも恨まれていないのになぜ毒殺されたのか。
一向に犯人の動機が見えてこないんですが、途中で怪しい女を知っている問屋場の組頭、半次郎が現れました。

半次郎が語った故郷ではなんとも悲しい事件が起こっていて、昔の事件と桃井の事件が重なる瞬間は非常に面白かったです。この話の運びの上手さは、さすが宮部さんです。

結局その女の結末のあっけないものでしたが、いまいち解せないのは”生まれつき性悪な人間がいる”という半次郎のセリフです。
個人的な考えとして、悪人の分かれ道としては思考能力が芽生えた状態の環境の良し悪しによって分かれるのではないかと思います。

別に根っからの悪人がいないと言いたいわけではないのですが、少なからず、”銀杏の葉の女”にも悪心が芽生えるきっかけがあったんだろうなと思い馳せます。

最後、北一が無事でほんとよかったです。
まだまだおみつさんや、治兵衛の過去、喜多次の謎など次作への伏線がありそうですが、少しずつ明かされることを祈ります!

懐かしいキャラクターの登場

それにしても懐かしいキャラクターが集結してて、いちファンにとっては感動して涙が出そうになりました。
「ぼんくら」で登場したおでこちゃんが大きくなってまあ!と思わずにこにこしました。でも茂七大親分が亡くなったのは残念…
所帯も持って、いっぱしの大人になったのがとても感慨深かったです。

また、弓之助くんのその後もちょっぴり書かれていて、長崎で数学者になったそうです。(かわいい…)
北一は弓之助くんに似てるけど顔は似てない!とおでこが言った場面は、宮部さんなりのファンサービスだろうなと思いながらクスっとしたものです。

たぶんぼんくらシリーズの続きは出ないんでしょうね…今作でその後が書かれたということは、望み薄だろうなとちょっぴり切なくなりました。




まとめ

今作はファンサービスたっぷりの、面白い作品でした!
宮部さんの時代小説はハズレがないのがすごいです。全部面白いのが凄まじいです。

早く3巻に期待大ということで、ぼんくらシリーズをまた読みながら待とうと思います。

    きたきた捕物帖シリーズの感想一覧

  1. きたきた捕物帖
  2. 子宝船

宮部さんの他の作品はこちら。

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